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第324回高分子分析研究懇談会例会(夏期合宿)報告


 高分子分析研究懇談会第324回例会が7月9、10日の2日間、倉敷国際ホテルで開催された。大原美術館に隣接した格調高い雰囲気の中、興味深い講演と全46名の参加者による熱心な意見交換が終日に亘り行われた。

 初日の第1セッションは本懇談会の運営委員長後藤幸孝氏(ダイヤ分析センター)による開会挨拶でスタートした。最初の講演は松田裕生氏(帝人)による「テレフタル酸系重縮合高分子のNMRによるモノマー連鎖構造解析」と題した内容。講演の中で、標題材料についてこれまで困難であった5連鎖トリアッド構造を1H-NMRによって解析可能とした事例の紹介があった。これはピーク分離に優れる測定溶媒を見出したこと、また13Cラベルや高分解2次元相関スペクトルを組み合わせることで、世界で初めて解析に成功したという興味深い内容であった。次に「X線光電子分光法による高分子表面・界面の官能基解析」と題して中山陽一氏(東レリサーチセンター)からESCAの基礎事項から応用まで幅広い内容の講演が行われた。解析例として、共役系が存在する場合のπーπ*サテライト成分や荷電子帯スペクトル情報を加味した詳細検討および気相ラベル化試薬を用いた表面官能基分析などが紹介され最表面解析に対するESCAの有用性を改めて認識させられる内容であった。初日最後の講演は、赤尾賢一氏(日本分光)による「マルチチャンネル赤外顕微鏡の開発とその応用」と題して赤外イメージング顕微鏡の測定原理および各種応用例が紹介された。リニアアレイ型検出器を用い従来に比べ2桁短い時間でのマッピング測定が可能となっていること、また生体材料での二次構造解析などに応用が広がっていることなど今後の展開に興味が持たれた。

 夕食後「NMR」、「表面分析」、「IR」の3分科会に分かれ2時間に亘り活発な意見交換が行なわれた。分科会のあと合宿恒例の懇親会が賑やかに行われ、さらに2次会も含め深夜までいろんな話題で盛り上がった。

 例会2日目は川口正剛氏(山形大)から「FFF-MALSを用いた高分子キャラクタリゼーション」と題し、装置の特徴および国産導入第一号機を用いた解析例も含めた講演をいただいた。高分子量物質の分離分析手法として高いポテンシャルを有しており今まで分析できなかった材料への適用など期待の膨らむ内容であった。続いて「高分子データベースPoLyInfoの現状と今後」について飯室 茂氏(物質材料研究機構)、「有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)」について衣笠晋一氏(産総研)から紹介講演がなされた。データベースへのアクセスから収録情報および検索条件など有用な情報が紹介された。

 本例会の締めくくりとして、初日夜に行われた3分科会のまとめ報告が原田美奈子氏、若林茂夫氏、渡辺健市氏により行われた。日頃感じている疑問や課題について率直な意見交換がなされ、参加者には有意義な分科会であった様子がうかがえた。

 いずれのセッションも興味深く充実した内容の例会であった。幹事として本例会の企画運営を担当いただいた佐藤信之氏、石井孝浩氏、の尽力に深謝したい。
[概RIテクノ 長野 悦子]

 

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