第340回例会報告

【概要】
高分子分析研究懇談会 第340回例会が12月12日(水)、簡易保険会館「ゆうぽうと」で開催された。講演、ワークショップともに2件ずつの発表があり、48名の参加者による活発な質疑応答が行われた。

【講演1】
はじめに、木村英昭氏(SRI研究開発(株))より「固体NMRの高分子材料構造解析への応用 〜ゴム、樹脂を中心として〜」と題した講演があった。1H CRAMPS法の有用性として固体状態におけるコンフォメーションや距離情報の解析、ならびに微量成分の定量分析が挙げられ、αヘリックスとβシート構造をもつポリ-L-アラニンの分子構造解析や有機結晶中に取り込まれた微量成分の検出について紹介があった。また架橋構造の解析事例として、琥珀の主成分について架橋の進み具合を13C CP/MASでパラメータ化したものがその経年代とよい相関を示すことやHETCORスペクトルにより帰属されたゴムの構造解析が報告された。伸張配向したイソプレンゴムについてはMASを用いずにstaticで外部磁場に対する角度依存性を調べ、MO計算による化学シフトテンソルと併せて解析することによって分子配向や異方性をもつ分子運動について情報が得られることが示された。

【ワークショップ1】
次のワークショップ1件目は藤井泰行氏(三菱レイヨン(株))による「高分解能SEMによるポリエチレン高次組織の観察手法」と題した内容であった。高分子材料の高倍率SEM観察に適用可能な金属コーティング方法について、金属種や印加電圧などのコーティング条件の違いがコーティング金属の小粒径化や導電性にどのように影響するか検討した結果が報告され、これにより可能となったPEのラメラ構造のSEM観察例が紹介された。

【ワークショップ2】
ひきつづきワークショップの2件目として内田久夫氏((株)三菱化学)による「高分子材料の臭気分析」と題した発表があった。高分子材料における臭気成分の特定のためにGC分離と適切なヘッドスペースを用いて嗅覚による官能試験の認知閾値まで濃縮する操作を行い、最終的にGCカラムを分岐させてMSと人間の嗅覚で検出する方法が紹介され、いくつかの解析事例から多岐にわたる知識と技術経験が要求されることが示された。

【講演2】
最後に谷正彦氏(大阪大学)より「テラヘルツ分光法の基礎と応用」と題した2件目の講演があった。テラヘルツ時間領域分光法の基礎として光伝導アンテナ素子にフェムト秒レーザーを用いた発生器と検出器の説明があり、106程度のダイナミックレンジや位相情報が得られることから、それぞれ高感度測定や複素スペクトル解析ができることが紹介された。テラヘルツ分光法の応用としては分子間などの弱い相互作用に関する情報が得られる可能性が示され、分子間振動モードの帰属や複屈折測定に現れるLAモード由来のディップ構造の解釈など今後の進展が期待された。

例会終了後には忘年会を兼ねた懇親会があり、講師および例会出席者の多くが参加して交流を深める有意義な場となった。
[帝人(株) 永阪文惣]


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