第337回例会報告

【概要】
 5月11日、総会ならびに第337回例会が、五反田の「ゆうぽうと」で開かれた。総会では2006年度の活動報告、会計報告があり、2007年度の新運営委員および予算案が承認された。引き続いてに例会に移り、講演2件、ワークショップ2件があり、いずれも活発な質疑応答がなされた。参加者は47名であった。

【講演1】
 最初に、河原成元氏(長岡技科大)より、「NMR法による加硫ゴムの架橋点の構造解析」の講演があった。先ず、加硫後に現れる固体13C-NMRシグナルに関して、加硫反応機構に基づく架橋点の構造推定、この推定構造による推定計算値から、このシグナルが硫黄に結合した3級炭素であるとされているこれまでの帰属の経緯が紹介された。これに対し、河原氏は実証的な測定法による帰属が必要であるとして、溶液NMR法のパルス系列が適用できるラテックスを用いた解析を提案された。13C-NMRにおけるDEPT法、APT法を用いることによって、加硫によって現れる44ppmはCH2,57ppmはCHおよび4級炭素の重なりであることを明らかにした。

【ワークショップ1】
 ワークショップ1件目は、百瀬陽氏(三菱レイヨン)による「臨界吸着クロマトグラフィーを用いたレジスト用共重合体のキャラクタリゼーション」であった。リソグラフィー性能が、共重合組成分布に関係していることに着目した。分子量、共重合組成を変えた試料を作製し、臨界吸着クロマトグラフィー(LC-CAP)により組成分布を反映した溶出曲線が得られることを確認した。この手法により、重合方法による組成分布の違いを明らかにした。さらにはLC-CAP-NMRを用いて各溶出位置での組成を算出し、溶出時間に対する組成の変化を定量的に求めた。

【ワークショップ2】
 ワークショップ2件目として、間宮悟氏(日東分析センター)から「染色法とアルゴンイオンビームを用いた高分子材料の断面作製法の検討」の発表があった。走査型電子顕微鏡用各種断面作製法について紹介があり、多孔質状の材料、複合材料への適用の問題点が説明された。この中で金属材料などに使用されるアルゴンイオンビームを用いたクロスセクションポリッシャ(CP)法が高分子材料に有効であること、その一方、熱ダメージの問題があることも報告された。この問題に対し、染色法を併用することで、熱ダメージ(形態変化)が抑えられることを実例でもって示され、複合材料等へのCP法の有効性が報告された。

【講演2】
 最後は井上隆氏(山形大)より「高分子ナノ構造体の構造と物性」の演題で講演があった。高分子のナノ構造について詳しく述べられた後、新しい構造形成の一つとして、界面化学反応の有用性について述べられた。化学反応と強烈な混練を起こさせるための世界で一番長い2軸スクリュー押出し機の開発、この押出し機を用いた新規ナイロン系アロイの開発、およびこのアロイの特徴的な物性が紹介された。また、EPDMなどとMg(OH)2のナノコンポジットでは、Mg(OH)2をゴム粒子内に選択的に内蔵させることで、塩ビ代替としての非ハロゲン系難燃性熱可塑性エラストマーの開発例が報告された。最後に、井上氏から極微量な界面化学反応部を検出できる解析手法の開発を望むとの要望が懇談会に出された。

【懇親会】
 その後、講師を囲んでの懇親会があり、有意義でなごやかな雰囲気の中で例会を閉会した。

〔旭化成(株) 大関 博〕


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