第336回例会報告

 高分子分析研究懇談会第336回例会が2月7日(水)、東京簡易保険会館「ゆうぽうと」で開催された。講演2題とワークショップ2題からなる計4件の発表と、34名の参加者による活発な質疑応答が行われた。

 講演の1件目は、丸山はる美氏(キヤノンアネルバテクニクス)による「イオン付着質量分析法によるリアルタイム測定の高分子材料への応用」と題した内容であった。フラグメントを得るEI法と異なり、イオン付着質量分析法(IAMS)は、気化した分子そのものをイオン化するため、分子を壊さずに検出が可能である。このため比較的狭雑物の影響を受けずに直接測定ができることが特徴である。講演では、まずIAMSの原理と特徴ならびにEIとの比較、メリットが紹介された。続いて、アプリケーションの紹介として、揮発性有機化合物(VOCs)のリアルタイム測定、RoHS規制物質である臭素系難燃剤など材料中添加物の迅速測定法、高分子材料の熱分解ガスリアルタイム測定などの事例が紹介された。ソフトなイオン化法としてさらなる応用が期待される。

 ワークショップの1件目は、池田俊之氏(旭化成)による「偏光ATRを活用した高分子材料の配向性評価」と題した内容であった。近年電子材料用途としてポリイミドをはじめとする薄膜の需要が高まっている。薄膜の物性は分子鎖の三次元的配向に依存する。今回は、偏光ATR FT-IRとX線回折から薄膜中の分子配向についての解析事例が紹介された。

 ワークショップの2件目は、土田好進氏(住友化学)による「On-line SEC/ESIMSを用いた合成高分子の構造解析」と題した内容であった。まず、SECとESI-MSを結合する目的の説明がなされ、続いて標準PMMA混合試料(2.93×104〜0.31×104)の解析と共重合体(MAMA/GBMA)の解析が紹介された。

 講演の2件目は、松岡秀樹氏(京都大学大学院)による「イオン性両親媒性高分子の特性と自己組織化」と題した内容であった。まず界面不活性両親媒性高分子として、イオン性高分子鎖と疎水鎖からなる両親媒性ブロックコポリマーが、気水界面に吸着することなく水中でミセルを形成するという興味深い挙動について、高分子性とイオン性そして両親媒性が微妙にバランスした結果であることを様々な実験結果から説明された。続いて、イオン性両親媒性高分子単分子膜のナノ構造として、気水界面に形成する単分子膜、特に親水鎖部分が形成する高分子電解質ブラシのナノ構造とその転移についてX線および中性子反射率法による解析が紹介された。

 いずれの講演についても、質疑応答時間では活発な議論が展開され、有意義な例会となった。

〔工学院大学 川井忠智〕


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