第335回例会報告

 高分子分析研究懇談会第335回例会が12月4日(月)、簡易保険会館「ゆうぽうと」で開催された。講演2題とワークショップ2題からなる計4件の発表と、45名の参加者による活発な質疑応答が行われた。

 講演の1件目は、堀内伸氏(産業技術総合研究所)による「電子顕微鏡による高分子界面特性評価」と題した内容であった。まず,界面の主な解析手法としてエネルギーフィルターを搭載した透過型電子顕微鏡(EFTEM)についての説明,次にインレンズ検出器を搭載したSEMによる接着界面の破断面の観察や,EFTEMによる加硫ゴムの解析を行った事例が紹介された。今後のポリマー中に含まれる元素の結合状態解析へのEFTEMの応用が期待される。

 ワークショップの1件目は、北村祐二氏(ブリヂストン)による「ゴムの架橋解析」と題した内容であった。まず,ゴムの架橋構造や架橋反応メカニズムを調べるためのアプローチについて,次に最も有効な手法である固体NMRを用いた硫黄架橋天然ゴムの架橋構造解析詳細について,さらに従来の架橋構造の帰属における欠点をカバーする新しいモデルが提案された。

 ワークショップの2件目は、小林洋子氏(富士ゼロックス)による「ポリマー分散液の安定性評価」と題した内容であった。まず,ポリマー分散液のゲル化の要因を解析し,次にそれぞれに対する分析的アプローチ紹介,さらにその手法を用いた実際の分析や,仮説に基づくモデル液での検証実験から,ゲル化の要因を明らかにした分析事例が紹介された。

 講演の2件目は,大谷肇氏(名古屋工業大学大学院)による「特異な分解反応を利用する紫外線硬化樹脂の精密構造解析」と題した内容であった。まず,不溶不融の架橋高分子の化学構造解析に有効な手段である熱分解ガスクロマトグラフィー(GC),中でも反応試薬共存下で特定の結合を選択的に切断する反応熱分解GCについての説明,次に不溶化した紫外線硬化樹脂に本手法を適用し,その分解物を詳細に分析して硬化物の共重合組成や架橋構造解析を行った事例,さらに超臨界メタノール分解−MALDI-MS測定によりGCでは解析困難な長い架橋連鎖構造を解析可能にした事例が紹介された。本手法を用いたさらなる応用展開が期待される。

 いずれの講演についても,質疑応答時間では活発な議論が展開され,有意義な例会となった。なお,例会終了後には忘年会が開催され,講師及び例会出席者の多くが参加して交流を深めた。

〔TRIテクノ 小林瑞代〕


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