第334回例会報告

 高分子分析研究懇談会第334回例会が9月7日(木)、簡易保険会館「ゆうぽうと」で開催された。講演2題とワークショップ2題からなる計4件の発表と、57名の参加者による活発な質疑応答が行われた。

 講演の1件目は、大澤雅俊氏(北海道大学触媒化学研究センター)による「表面増強赤外分光で観る固液界面反応」と題した内容であった。まず、表面増強赤外吸収(Surface-enhanced IR absorption; SEIRA)の理論、装置構成や実験方法などが詳述され、次に、この方法論を利用して、電極表面などの固液界面における反応解析を行った例が紹介された。さらに本法により、反応過程をピコ秒レベルまで時間分割して測定した事例も説明され、最後にバイオセンサーを始めとする様々な分野における応用が展望された。

 ワークショップの1件目は、鶴見浩一郎氏(BASFコーティングス)による「超臨界メタノール抽出法による高分子分析の試み」と題した内容であった。まず、使い捨て可能な小ガラス管を使用して、超臨界メタノール抽出実験を簡便かつ安価で実現できる方法論を開発した経緯が説明された。さらに、この手法を活用して、劣化ポリプロピレン中の黄変原因物質の特定を試みた分析事例が紹介された。

 ワークショップの2件目は、前川敏彦氏(富士写真フイルム)による「熱分解GC/MSとTOF-SIMSによるコア-シェル型SBRラテックスの構造解析手法の開発」と題した内容であった。まず、染色TEM法による形態観察、熱分解GC/MSによる平均共重合組成解析、およびTOF-SIMSによるシェル部の共重合組成解析を総合して、コア-シェル型ラテックスのキャラクタリゼーションを詳細に行った内容が紹介された。さらに、この手法を用いて、設計どおりのコア-シェル構造を有するラテックス合成の要件を明らかにした分析事例が述べられた。

 講演の2件目は、尾崎幸洋氏(関西学院大学理工学部)による「光を使い分けてポリマーを分析する−遠紫外光からテラヘルツまで−」と題した内容であった。まず、遠紫外光(100〜200nm)とテラヘルツ光(光波と電波の境界)の定義や特徴が述べられ、それらを分光技術に利用した際の特長および実際の応用例が紹介された。次に、近赤外分光法について、その歴史的背景や基礎理論から当該手法の特色などが詳述され、最後に当該手法を応用してポリマー種の類別を行った事例が紹介された。

 いずれの講演についても、質疑応答時間では活発な議論が展開され、有意義な例会となった。

〔名古屋大 石田康行〕


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