2001年度総会ならびに第308回例会

 簡易保険会館「ゆうぽうと」において、去る5月30日13時より高分子分析研究懇談会の2001年度総会ならびに第308回例会が約50名の参加者を得て開催された。
 総会においては、まず昨年度の会長(本年度も留任)である寺前紀夫氏(東北大)から、「ミレニアムを節目として、新たな体制・さらなる活動をめざす」旨の挨拶があり、つづいて昨年度の幹事委員長(本年度も留任)の大谷 肇氏(名古屋大)から2000年度の活動および会計報告が行なわれ承認された。次に2001年度の活動方針として、例会、夏期合宿、技術講習会に加えて、初めての試みとして東京で開催する高分子分析討論会、等の活動予定が示されたほか、「高分子分析ハンドブック」の改訂にむけて夏期合宿時に編集方針の討議を行うことなどが説明され、承認された。さらに新しい体制作りの一環として従来の幹事委員会の形態を見直し、運営委員長と若干名の委員からなる運営委員会を設けて運営にあたる旨の規約の改訂案,および新たに定める運営細則案(2002年度より実施)が提案され、承認された。
 例会では、まず、江口恵二先生(日本電子)より「NMRイメージングの測定法と材料分野への応用」と題する講演があり、MRIとして一般にもよく知られるようになったNMRによるイメージング法の原理と測定方法、植物等の生体試料の実例をまじえた空間分解能(〜10?m)の現状の紹介、NMRイメージングを「硬い」固体材料に適用するための技術的課題とその解決に向けたアプローチ(溶媒アシスト法、高温法)についての詳細な解説がなされた。
 続いて、彦坂正道先生(広島大)より「高分子の結晶化のメカニズム」と題する講演があった。高分子鎖が結晶化する際に鎖軸に沿って滑りながら結晶化するという「滑り拡散」を考慮した結晶化理論の基礎(分子量と結晶化速度との関係、メルトメモリー効果等)を、ポリエチレンの結晶化を例にとって実験結果との対応をまじえた解説がなされた。
 最後に、佐藤壽彌先生(東京農工大)より「高分子の液体クロマトグラフィーLC−CAPと吸着クロマト」と題して、分子量に依存せず組成や末端基の違いにより分離を行うクロマトグラフィー技術に関する講演が行われた。吸着臨界点を用いたCAP法、溶媒グラジエントを用いた吸着(ALC)法の応用として、種々のブロック共重合体の一方の成分の分離を吸着臨界条件とすることにより抑制し、他方の分子量により分離させる方法や、一段目にある分取を行い、その各成分について別の条件で分離することにより三元共重合体の組成分布の分析を行う方法等を、豊富な例を示しながら解説された。
 各講演の後には活発な質疑応答が行われたが、つづく交流会では軽食を交えて会員相互や講師の先生方との間で懇親を深め、盛況のうちに第308回例会は終了した。

[住友化学工業梶@岡田 明彦]





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