高分子分析研究懇談会設立40周年記念講演会 (第306回例会) 報告

 東京の街が銀杏の黄葉に彩られた去る12月6日,学士会館において表記講演会が開催された。この講演会は高分子分析研究懇談会の設立40周年を記念して開催されたもので,これまで研究懇談会の発展に貢献されてきた諸先輩方を含め,70余名の参加者を得て行われた。
講演会の冒頭,寺前紀夫会長(東北大院理)から挨拶があり,研究懇談会の発展を支えてきた会員諸氏の尽力に対して謝辞が述べられるとともに,懇談会の21世紀の飛躍を期して,高分子分析ハンドブック改訂版の刊行,会の活動の国際化,そして産学協同による運営体制の強化をめざす方針が表明された。
 続いて,藤原鎮男名誉会長(東大名誉教授)から「所感:日本が先導した高分子分析」と題して特別講演がなされた。40年前‘高分子分析’という新しいフィールドの創設を目指して研究懇談会を発足させた先達の功績に聞き入るとともに,将来に向け研究懇談会の4つの‘宿題’,すなわち高分子の,1.結晶化度,2.安全研究,3.経時データの集積,4.微量成分効果の解明が提示され,現役で分析に取り組んでいる聴講者の皆が意を新たにした。
 次いで,宝崎達也氏(出光石油化学)から「高分子における分離分析法の現状と展望」と題する講演があった。クロマトグラフィーを中心に昇温溶離分別法など最新の話題が紹介され,一貫して高分子の分子構造とその特性解析方法の開発に携わってきた氏の視点から,高分子の分離分析法の今後の展開として,“昇温インタラクションクロマトグラフィー”と“サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)とマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法のオンライン化”の可能性を示された。
 コーヒーブレイクをはさみ,講演は北山辰樹氏(阪大院基礎工)の「NMRによる高分子キャラクタリゼーションの現状と展望」へと進んだ。氏のNMRとの出会いの話から始まり,次いで“高磁場NMRのメリットは何か?”,“クロマトグラフィーとNMRのリンク”,更に“NMRで分ける−Diffusion ordered NMR”へと話題は広がった。高分子構造のより精密な解析を行なうために高磁場NMRが果たす役割と今後の展望について知識を深めることができた。
最後に,黒崎和夫氏(元理学電機工業)に「高分子の機能化を促進する表面・界面分析」と題して講演をお願いした。機能性材料の特性要因を解析するために重要な高分子表面あるいは複合材料界面の分析・評価について,X線光電子分光法の測定事例を中心にわかりやすく解説していただいた。
 講演会に引き続いて祝賀会が開かれた。まず,田中誠之顧問(明星学苑常任理事・東京大学名誉教授)から祝辞をいただいたのち,西岡篤夫顧問(東工大名誉教授)の乾杯により,祝賀会はなごやかに始められた。先輩を囲んで往時を振り返ったり,高分子分析の課題について意見交換をしたりと有意義な時を過ごすことができた。
 この記念講演会の参加者には記念誌「高分子分析研究懇談会40年の歩み」が配布された。研究懇談会40年間の活動を,会員からの寄稿文や例会記録,スナップ写真などで振り返ることができる。高分子分析に関するこれまでの研究動向,その未来を考える上で貴重な資料となった。
 なお,この記念誌は高山 森氏(アクトリサーチ)の尽力により講演会の開催に間に合わせて作成することができた。高山氏には心から感謝の意を表したい。また最後になったが,講演の依頼を快諾してくださり,記念すべき講演会を盛会に導いていただいた諸先生方にも,この場を借りて厚く御礼申し上げる。

                      〔(株)コーセー 亀山浩一〕





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